続き


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「揃ったところで、かんぱーい」


3度目の乾杯が執り行われる。


「俺は外資銀行で大学はアメリカの〇〇、住んでるところは西麻布だよ、宜しく」


というプロフィールと共に会話が進む


アメリカだけどめっちゃ田舎の大学じゃん…どこだよ…西麻布とか芸能人気取り?交通の便悪いのによく住むね…えっ会社港区じゃないのに住んでんのうける笑笑)


アラサーババアになると純粋な心が消え、醜い心でこんなことを考えてしまうのだ。


乾杯のたびにこんな不毛な事いつまでしなきゃいけないんだろう、とふと冷静に頭によぎる。


新卒の頃はこの乾杯が楽しくワクワクした。しかしアラサーババアになるにつれ、どんどん乾杯で心がすり減って行くような気がしていた。乾杯するにつれて男性への目が厳しくなり、理想が高くなるような気がした。



友達と会えるのも楽しい、初めましての人と話して色んなことを知れるのも楽しい。しかし周りの落ち着いている友達と比較すると何かが虚しくなると同時に惨めさに襲われる。


そんな中今日もお食事会の誘いを受理するのだった。



慶応ボーイ合コン


春の季節、桜が舞い、さわやかで新鮮な気持ちを抱いて過ごしていたのもつかの間、あっという間にセミが鳴き蒸し暑く嫌な湿気が身体にまとう。


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少しだるそうな顔をして歩く少女。いや、正確に言うとアラサーババアだ。


アラサーババアは非常に焦っていた。

好きな彼氏に振られ、周りが続々と婚約をし始めたからである。

そんな喪失感と焦燥感を胸に日々オフィスに向かうのだ。


オフィスに着きパソコンを開き ふう、と一息ついて今日の予定を思い起こす。


今日は慶応ボーイとの食事だと。


一般的に言うと慶応ボーイはブランド力があり、とても女性には人気である。しかし合コンをし、サンプルを沢山得たと自負している女子3人組はあまり乗り気ではない。というのは、慶応ボーイは内部愛が強く、話がつまらない上にプライドが高く傷つけたら、面倒くさく気を遣うというイメージが先行しがちだからである。


ウィンドウズの立ち上げの遅さと毎週飲み会で落ち着かない自分に少しイライラしながら今日の予定を確認し、夜の食事会を待つのであった。


「お疲れ様です。」

会社を出てやる事はまずトイレで化粧直しだ。アイシャドウとアイブロウ、チーク、リップの順番に化粧直しを行なっていく。

下地、口紅、グロスという順番で3回塗り直すのが鉄則である。


指定されたお店に行くとそこは鉄板のジョーズシャンハイであった。


ジョーズ シャンハイ ニューヨーク 銀座店

食べログ ジョーズ シャンハイ ニューヨーク 銀座店


こちらは小籠包がとっても美味しく、スパークリングワインが飲み放題のメニューに入っており、美味しく女子の人気が高い。


なかなか良いお店だ、と期待を膨らませてお店に入る。


男性陣は遅れてくるみたいだ。


その間女子会が始まる。


「今週会えなかったねー、仕事どうよ?」

「実はチーム変わったんだよね、てか例の楽天のいい感じの彼どうなった?」

「あれは女々しいから無理。告られたけど振ったよ」

等近況をアップーデートをする会話が繰り広げられる。


その間に男性の幹事がやってきた。


「ごめんねー、遅くなって!」


目が細いスリムな幹事は某大手ITであった。

なかなか話を振るのが上手く、盛り上がったところでもう1人登場。


背が低いが優しそうなジャニーズ村上似だ。


「お疲れ様です!」


ここで慶応特有のノリが出る。

内部愛が強すぎて、昔話に盛り上がり、仲良しアピールを女子にひたすらしてくるのだ。


旅行ここ行ったよな、共通の友達の〇〇がさ〜等だ。完全に2人で盛り上がっている。そんな事はここでやらないでくれ。今のTPOを考えろ。


そこで女子が白けた瞬間に、3人目が登場した。


続く